絵画が動きだす

   

フローランス・ミアイユ(Florence MIAILHE)来日展

『カルチェ物語』以外に、下の作品も上映しております。

 

「ハマム」  (HAMMAM 1991年 9分)

ハマムとは娯楽施設であり社交場でもある、イスラム式の公衆浴場のこと。
「ハマムは時間、流行、偏見といったものから無縁の場所です。」「自分が描いた女性たちを動かしたい衝動に駆られて、フィルム制作を始めました。」とはミアイユ本人の言葉。大胆な色彩が力強く印象的な、ミアイユのアニメーションデビュー作。

 

「シェラザード」  (SCHEHERAZADE 1995年 16分)

なぜ王は夜毎に乙女を殺すことになったのか、またなぜシエラザードは千と一夜に及ぶ膨大な物語を語ることになったのか。日本ではあまり知られていない千夜一夜物語の序話と最終話を、ミアイユが強烈な個性と官能的な色彩で描き出す。

 

「托鉢僧になった王子@A」
(HISTOIRE D'UN PRINCE DEVENU BORGNE ET MENDIANT 1996年 16分)

千夜一夜物語の一節で、三話からなる「三人の僧」の物語を、ミアイユが独特の感性と大胆な解釈で展開する。ミアイユは原話では三話からなる物語の第一話を省略し、また二話目と三話目の順番を入れ替える構成に変更、最後には三人の僧を登場させるという、矛盾と飛躍に満ちた独特の世界観を爆発させる。

 

「ある8月の第1日曜日」
(AU PREMIER DIMANCHE D'AOUT 2000年 11分)

「絵によるルポルタージュ」と「子供の頃の思い出」をミックスさせたという、フランスの夏祭りを題材にしたミアイユの自伝的な作品。透写版の裏から照明をあてる新しい技法により、映像に光と奥行きを与えることに成功しセザール賞を獲得。彼女の集大成といえる作品。

 

「白い鳥、黒い鳥」
(LES OISEAUX BLANCS, LES OISEAUX NOIRS 2002年 4分)

フランスとドイツの共同運営教育テレビ局「アルテ」制作のドキュメンタリー、「ティエルノ・ボカールの生涯と教え: バンディアガラの賢者」の中に挿入されたアニメーション。粉のパステルと砂という材料を使って制作された。ティエルノ・ボカール氏は、西アフリカ・マリのイスラム道士であり、白い鳥は「善」を、黒い鳥は「悪」を象徴しているという。