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赤と言えば、昨今話題の自伝『私一人』の刊行記念サイン会に登場した大竹しのぶの臙脂色のスーツ姿を思い出す。黒いセーターに引き立てられてスカーレットの印象を醸し出していた。服の色と言えば、ご懐妊の記者会見に臨まれた紀子さまのドレスの群青(ラピスラズリ)色も印象深い。どちらも絶妙の選択だと感じた。 色はその時々の心境を表し、場を演出する。そして、絵画の彩りは感動や癒しを与える。なぜ?そもそも、色って何?こんな原点から“色いろいろ”を紐解いてみる。 私たちが色を見る(感じる)時、必ず光がある。色と光は切っても切れない縁。さて、その光の正体は何だろう?最初にこの疑問を解こうとしたのが、イギリスの物理学者ニュートン( Sir Isacc Newton, 1642-1727 )。プリズムを通して、光を赤−橙−黄−緑−青−藍−菫と解析した逸話は広く知られている。私たちが虹に見る色だ。ニュートンは『光学』( 1704 年)という書物の中で「光は、障害物にあたると飛び散る、極めて小さい粒子」という粒子説を唱えた。一方、オランダの物理学者ホイヘンス( Christian Hungens, 1729-1795 )は「光は波の性質を持つ、波動」という波動説を唱えた。その後、イギリスの物理学者マクスウェル( James Clark Maxell, 1831-1879 )が、光は「電磁波」という電気と磁気の両方の性質を持ち合わせた波動説を表明し、現在に至っている。 電磁波は長さによって独特の特徴を持っている。短いものから、宇宙船→γ線→X線→紫外線→光→赤外線→電波と区分される。このうち、太陽が発しているのは紫外線、光、赤外線で、サンカイビのコンセプトに含まれる「サン― Sun / Saint 」の Sun は大いなる太陽エネルギーであることにここでフォーカスしたいところだが、後の醍醐味にとっておこう。 先達の努力によってわかった光の正体は電磁波。そして、この電磁波こそ色の正体。電磁波の単位は nm (ナノメートル: 10 億分の 1 メートル)。人間の眼が感知できる光は、約 380nm から 780nm あたり。個人差があるだろうが、その内おおよそ、 380nm 〜 470nm は紫、 470nm 〜 475nm は青、 500nm 〜 550nm は緑、 550nm 〜 650nm は黄、 650nm 〜 780nm は赤というように波長ごとに違った色に見える。つまり、色はエネルギーだと言い換えられる。重複になるが、 380nm 以下は紫外線で、 780nm 以上は赤外線だ。 ここで、大竹しのぶの臙脂色=赤の効果に照らしてみる。赤は波長が長い。つまりとてもダイナミックでパワフル。『私一人』という題名からも窺われるような決然とした自己表明には持ってこいの色であり、人生をみつめた末に自分自身で生きているという透徹した信念に辿り着いた彼女の心理が自然に選ばせた色なのだろう。勝負服などと持て囃される赤は、エネルギッシュな人が好むことが多いようだと分析していた。ところが、「赤からエネルギーをもらいたくて求めているような気がする」という“赤大好き人間さん”のお話を伺った。いずれにしても、赤は赤外線に最も近く、色感のとおりエネルギー的に最も熱い色だからなのだろう。 逆に、紀子さまの群青色=青は主張を抑えた色ではなかろうか。微妙な波動は静かに伝わってくる。紀子さまのようなお立場の方がご自分で服をお選びになるのか、庶民には知るよしもないが、不遜ながら状況を鑑みた聡明な判断と堅くも静かな決意の表明だと感じ入った。因みに、群青色は、岩絵の具としても古代より使われており、明日香村の高松塚古墳の壁画の青色の顔料がアフガニスタンに産するラピスラズリ鉱石を使っていることが蛍光分析で明らかになっている。ラピスラズリは高価なため染色に用いられなくなったといわれるが、この度お召しになられていた色は、当にラピスラズリ色を思わせた。また、群青色の英名での近色は「ロイヤルブルー / Royal Blue 」だそうだ。 次回は、赤と青の他のいろいろな色について、角度を変えてご紹介したい。 著者: さいとうろさ 上智大学大学院外国語学研究科言語学専攻言語障害コース修了。言語療法や語学教育の他、豊富な海外生活経験を活かし、翻訳や貿易関連の職業に携わる。 |
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