ガントナー風景画 展

会期:
2002年6月13日(木)6月26日(水) 作家詳細
12:00−19:00 日曜 休廊 前ページへ
会場: アートスペース・サンカイビ   →地図

  最近のテクノロジーの進歩はめざましく、携帯電話やインターネット等は一般人の生活にもすっかり溶け込んでしまっている。 速さ、便利さはなおも求め続けられている。
  しかし、一方で都会を捨てて田舎暮らしを始める人も増えてきているように思う。実際行動に移せるかどうかは別として、案外多くの人が 「自然の中でのんびり暮らしたい」 という憧れを持っているのではなかろうか。

  19世紀のフランスでもそんな田舎志向の芸術家集団が現れている。彼らはあえて産業革命只中の都会を離れ、自然との共生によって作品を生み出していった。移住先の村の名を取って、後に “バルビゾン派 ” と呼んでいる。筆頭格には 「落穂拾い」 で有名なミレーがいる。

  そして、現代に残る “バルビゾン派” の末裔こそベルナール・ガントナーその人である。
大都会パリから遠く離れたサオーヌ地方に身を埋め、身近な風景を描き続けている。

  スケッチブックを片手に戸外に出かけ、日々刻々と移り変わる自然をとらえていく。幼少の頃から草花や虫、動物たちと触れ合うことによってその鋭い観察眼は培われていった。だからどんな小さな変化も見逃さない。

  従来外国人の風景画は季節感に乏しいとされてきたが、ガントナーの絵は実に四季がきめこまやかに表現されている。早秋の花咲く土塀の家、夏の湖面をそよぐ風、秋の色づいた木々のざわめき、雪にうずもれた小集落。

  また、同じ季節を描いても一枚として同じ絵はない。空気や光の微妙な変化を感じ取り絵筆ですくいあげていく。それが可能なのは、その地で日常を営んでいるからであり、深い愛情を寄せているからこそである。キャンバスの向こう側にある画家の眼差しはいつも暖かい。

  願いとは裏腹に都会から離れられずにいる私達。せめてガントナーの絵を通して田園生活に想いを馳せてみたい。時間に追い立てられることのない 「晴耕雨読の日々」 ・・・それはこの上なく甘美な響きをもって聴こえてくる。

  今回の展覧会は油彩・水彩を中心に近作、約20点を展示いたします。また、制作の様子を撮影したビデオも上映する予定です。是非この機会にご高覧頂きますようご案内申し上げます。

 
アートスペース・サンカイビ    
代表: 平田 美智子