大塚雄造展 ライン 波~香
開催期間:2025年08月20日~ 2025年08月26日開催場所:ジェイアール名古屋タカシマヤ 11階 美術画廊
画家、大塚雄造は、多摩美術大学を卒業後、ヨゼフ・ボイスに憧れ、ドイツの国立デュッセルドルフ美術アカデミーへ留学、当時1970年代から80年代にかけて、ヨゼフ・ボイスやナム・ジュン・パイクらを中心に先鋭的な芸術家が集まっており、大塚はその刺激の中で若きアーティストとしての歩みを始めました。
デュッセルドルフ市の中心を流れるライン川をドイツ人は「父なる川」と呼びます。川幅が広く穏やかなライン川の流れは、大塚にとってヨーロッパ文化の偉大さの象徴であり、「波」シリーズの着想の原点となっています。ナイル川やガンジス川、黄河がそうであるように、川は人類の文明を育んできました。ヨーロッパでは川を中心に街が形成されるように、人類の営みが川よりもたらされることを気づかされます。
今回の「ライン 波~香」シリーズは、ドイツ留学時に描かれた心象スケッチを元に制作されました。アクリル絵の具とアクリル樹脂を使った金色を主体としたマチエールからは、西洋の遠近法とは一線を画し、日本画の平面性とも違う、独特の立体感と奥行きが感じられます。抑制された金色が生み出す大塚雄造の世界感は、高揚感を感じる一方で、川の静けさや恒久性が重層的に響きわたっています。
本展は、作品と共に作品をイメージし作られた香(香水)も展示し、視覚と嗅覚双方から作品にアプローチする展示会です。