東京は港区、芝大門の増上寺。
浄土宗の七大本山の一つで、1万6千坪という広大な境内に歴史ある建造物が並んでいます。
この増上寺から依頼され、篠田桃紅が壁画と襖絵を制作し、完成させたのは1974年のことでした。
制作当時の篠田桃紅は61歳。
アーティストとして、円熟と情熱を兼ね備えた時期の作品です。
本堂ロビーの壁画は「過去」「現在」「未来」と題される30メートルにもわたる大作です。
日本で、なかなかこれだけのサイズの作品を目にする機会はありません。
古い紙を組み合わせたコラージュの手法で制作され、タイトルの通り悠々とした大きな時の流れを感じさせる作品です。
そして本堂道場には、4枚組みの襖絵を4パターン制作しています。
1枚が2メートルもある大きな襖で、見応えがあります。
臨場感溢れる筆跡で描かれた墨が、それぞれに美しく力強い作品です。
東京の真ん中のお寺の奥深くに、案外と人知れず、しかし堂々と存在している篠田桃紅の大作。
篠田ファンの皆様には、是非ご覧いただきたい、素晴らしく貴重な作品です。
これらの作品は、いつでも自由に拝見できるわけではありませんので、ご覧になりたい方は、増上寺の事務局にお問い合わせの上、お出かけになることをお薦めいたします。
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