春の訪れにふさわしい花々と少女を描いた服部和三郎展が、作品完売という盛況の内に幕を閉じました。多くのお客様にご来廊頂きまして、本当にありがとうございました。
今回の展覧会では、来廊されるお客様が口を揃えて、「これは油彩なのですか。やさしい、美しい絵ですね。」
という感想をもたれました。作品だけを見ると、作家は女性だと思われていた方も多かったようです。また、先生を慕って多くのお弟子さんたちが訪れ、絵の前でじっと見入っておられました。
繊細な線で描かれた画面にはテンペラ画のような風合いがありますが、油彩でなければ出せない透明感が美しく表されています。 下地にかなりの時間を費やし作り出されたこの表現は、服部和三郎ならではのなせる技なのです。日本人にとって油彩はともすると重く感じられ、また現代の家屋に飾るのにも、選んでしまう場合があります。ところが、先生の作品はおなか一杯になり過ぎない、程よい量感というものがあります。これは油、顔料を知り尽くし、自由に使いこなせる優れた技量と、何よりも日本人ならではの感覚を持ってこそできる」油彩表現なのではないでしょうか。
展覧会期間中、3日間に亘り先生が来廊されました。美しい瞳で、とてもよい表情をされていたのが印象的で、こんな興味深いお話をされていました。「現代アートでも巨匠と言われたり、評価されている画家の画面には、必ず古典的な様式が取り入れられています。必ず焦点となる明るい部分があるのです。そこに自然と目がいくのです。」
今回、少女を描いた作品では、顔ではなく首から胸にかけての部分が明るく描かれていました。肖像画でも威圧感を与えないのは、そのためだったように感じられます。
服部和三郎氏は、絵を描くことが本当に好きな作家です。絵を描くことに正に全力を傾けています。その姿勢には心から畏敬の念を表さずにはいられません。そして、その技法は常に前進し続けています。
サンカイビでは、今後も服部和三郎作品をご紹介し、応援して参る所存ですので、これからもどうぞ宜しくお願い致します。最後になりましたが、この展覧会に起こし頂いた多くのお客様、ホームページでご覧頂きご感想、ご意見を下さった方々に心より感謝を申し上げます。 |